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「かみわたし~神様の箸渡し~」探訪(長野県諏訪市 先宮神社)

公開日:2012年06月20日 カテゴリー:, 聖地巡礼/舞台探訪 タグ:,

(6/20 P180の解説記述について若干訂正・と一番最後を追加)

※6/7の記事ですが一部大きな更新をしたため再度上げておきます #巧妙なステマ

久々に普通の大分の記事・・・と思ったら珍しく探訪記事と相成りました。そして場所は長野です。(次は大分なので勘弁してください・・・)

 今回取り上げる「かみわたし ~神様の箸渡し~」は、有馬啓太郎氏がヤングキングOURSに連載している漫画であります。現在単行本一巻が発売されています。

神様ラブコメかなーと思って読み始めたら、1巻にしてなかなかの展開になったので続きが大変楽しみです。

さて、本作は一応「大輪町という架空の町」とされていますが、御柱が出てくる時点でピンと来ると思いますが「諏訪地区」がモデルとなっており(そもそもあちこちが諏訪諏訪していますが)、作品のメイン舞台でもある「先宮(さきのみや)神社」は長野県諏訪市にそのままの名前で実在する神社です。若干の差異はありますが、かなり多くの位置で一致カットが見られます。

■現地探訪編 (2012/5/31訪問)

実際一致する場所は、1巻時点では神社以外にはなさそうでした。
そもそも作中で登場するのは学校、学校からの坂、家の近くの街道、自宅程度で、出てくる場所自体がほとんどない状態。一応中学校のモデルと思われる(これも外観は全く違う)上諏訪中学校から街道沿いを歩いてみましたが、これと言った一致箇所は見当たらなかったので(実はあとがきにそう書いてはあるのだが)、とりあえず「先宮神社」だけに絞って調査してみました。

先宮神社
諏訪市大和3丁目18番1号(上諏訪駅北方1キロ) Googlemap
HP:http://www.8tree.com/sakinomiya/

神社には若干の変更が加えられているようでした。主な物としては・・・

・神社正面鳥居の「先宮神社」の額縁は実際には無い
・神社正面鳥居の位置が違う(実物は最初の階段の先)
・神社正面右側の案内版と思わしきものの場所が違う(案内版ではなく「先宮神社」の石碑がある)
・大欅の傘状の屋根は、おそらく茅野市の葛井神社にある欅のものがモデル?
・東門は無い(境内を抜けることは出来るが門は無い)
・マレットゴルフコースも無い(先宮神社にはないが、諏訪地区ではよく境内に展開されている)

このようにいくらかの差異はありますが、現地と作中はほぼ同じイメージと言って問題ない。

 

■小ネタ編

作中は諏訪地区がモデルとなっていて、諏訪を知っているとなかなかニヤニヤ出来るネタが出てきます。そんな小ネタをいくつか紹介。

・宮坂姓
長野県に多い姓で全国の半分の宮坂さんが住むという。諏訪市では市内で3番目に多い姓で、宮坂酒造や宮坂医院などあちらこちらで見ることが出来る。宮坂氏はもともとは諏訪大社の大祝を務めてきた諏訪氏の一族という。

・七年に一度の祭り
御柱が出てくる時点でいわずもがな。ただ、あとがきでは一応フィクションということで。

・P41~:祖父が首から提げているもの
「御柱御守(首飾守)」と呼ばれ、旧御柱を使用して作ったお守りの一種。諏訪大社社務所で授与されている。氏子に配布される特別なものもあり、作中からはどちらかまでは判別できないが、祖父が熱心な氏子であることからおそらく後者ではないかと思われる。

・P41~:大輪町
作中での主人公の家の付近は「大輪町」と呼ばれている。これは先宮神社付近の地名「大和(おわ)町」から着想したものと思われる。

・P48:マレットゴルフ
信州で本当に流行っているスポーツ。そして場所によっては本当に境内をマレットゴルフのコースにしている(洩矢神社など) しかし実際の先宮神社には存在しない。
参考:信州のマレットゴルフ場

・P66:神社だけではなく小さな祠にまで建っています。

・P71:「曳けばわかる」
実践あるのみ!

・P180:「奥山の大木、里にくだりて神となる」
御柱の曳行の際に歌われる木遣り唄の一節。ちなみに下社のものである。先宮神社は上社側であるが、フィクションなので問題ない。 →先宮は下社側のようでしたので訂正します。(まぁ間違えるはずは無いですね・・・わざとかと思ってました)
参考:木遣り唄と長持唄

 

■もう少し踏み込んだところ

・先宮神社の伝承
高照姫(タカテルヒメ)は作中「先宮神社」に祀られる神様とされていますが、実在する「先宮神社」で祀られている神様でもあります。そして、実在の先宮神社にも境内前に橋を架けないという伝承が存在しています。要するに「かみわたし」はこの「実際に存在する伝承」を元にして作られた作品ということです。

from八ヶ岳原人 先宮神社(鷺宮明神)
二つの国譲り・先宮神社に見る神話の真相

このようなローカルな伝承を元にして作られた一般作品は、比較的珍しい部類だと思います。(他で知っているものは広島県三次市に伝わる「稲生物怪録」をベースにした「朝霧の巫女(宇河弘樹作)」等)

実際に存在する伝承をベースにしているからこそ、いろいろな研究がすでになされており、どこまでそれらを反映してくるのか非常に楽しみに思っています。たとえばモノによっては「イナバ」ともつながっていたりするので、場合によっては鳥取に取材に行っても良いかも・・・と算段を立てているところです。まだ一巻なので様子見ですが・・・

・東方と諏訪とかみわたし →実は諏訪の方が先だったと言うことでこのあたり薄くしておきます
「かみわたし」を創るにあたって大きな影響を受けたと思われる作品。それは同じく諏訪の伝承を基にしたZUN氏製作の「東方風神録」です。
かみわたし作中にはまったく東方成分は出てきませんが、もともと作者の有馬氏が諏訪の御柱祭や伝承に興味を持ったのは、氏が東方風神録に興味を持ったからに他ならないわけです。東方に嵌り、そして諏訪に嵌り、そして御柱祭にも参加し、自らの手で御柱を曳く体験もされています。その都度に東方の同人誌を出し、諏訪での体験レポートもページを割いて描かれていました。

(一応同人である)東方から諏訪を知り、そして自分なりに諏訪を噛み砕いて新たな(商業)作品を生み出したというわけで、この流れはなかなか感慨深いものがあります。

ちなみにそれなりに重要な表紙カバー下はこんなことになっています。

どんだけ諏訪ー!!

というわけで、探訪記事なのか解説記事なのかよくわからなくなりましたが、独自色は出せたかな・・・と。諏訪大好きな方は特に必見の漫画かと思いますので、ぜひとも見てみてください。#ステマ

 

6/20夜追記

 

ぎゃーごめんなさい! ごめんなさい!!

結論:ついったーこわい

(とはいえデマの一端になりかけたわけなので、こうして指摘が入るだけマシともいえますが・・・恐ろしや・・・)

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